【モロッコ】写真展


オープン最初の写真展は「Morocco」(モロッコ)をテーマにした写真展を開催しました。 牛島まさみがモロッコで撮影した数多くの写真の中から20点程を展示しました。
[人吉新聞に掲載されました]


Moroccoが世界史に果たした役割】

 そもそも、なぜこの北アフリカの地に、アラブ人が居住するようになったのか。 それは、アラブ世界における、民族闘争の歴史を紐解かなければならない。 そして、モロッコはアラブの文化・文明が西洋の文化・文明の発展に、大きく寄与する架け橋となったことを伝えなければならない。
 イスラム教の成立は、メッカにおいて、ムハンマドが信仰を説き始め、622年メディナで教団を設立したのがイスラム紀元元年とされている。 ムハンマドの死後に、イスラム教徒によるアラビア半島の統一が完了した。 また、642年にはササン朝ペルシャを破り、イランに進出し西アジアへと勢力を拡大していった。
 正統カリフの時代に、内戦があったが、661年にウマイヤ朝が成立した。 政治の中心はシリアのダマスカスに移された。 その後、カリフの継承問題に端を発して、各地で反乱が起き、750年、ウマイヤ朝の都ダマスカスが陥落し、 王族の殆ども殺害された。 その結果アッバース朝が成立した。
 アッバース朝がウマイヤ朝を滅ぼした後、政治の中心は、シリアのダマスカスからイラクのバグダードに移り、イスラム教国最大の都市となった。 アッバース朝は、アラブ人だけの構成ではなく、イラン人やトルコ人も受け入れ、さらに西アジア全域を支配する大帝国として成長していった。
 このアッバース革命に先んじて、711年イベリア半島に侵攻したウマイヤ朝のアラブ・ベルベル合同軍が、 西ゴート王国最後の王リデリックを破り、西ゴート王国は滅亡した。
 ウマイヤ朝滅亡後も、その残党狩りが執拗に行われたが、アブド=アッラフマーンは、母親がベルベル人だったことから、 モロッコのベルベル人に迎えられ、755年ウマイヤ朝の旧臣の援助を受けて、イベリア半島で勢力を拡大し、 756年スペインのコルドバに後ウマイヤ朝を再興した。
 ウマイヤ朝は、アッバース朝に滅ぼされる前から、東進のみならず西進することで北アフリカを征服した。 その後、ウマイヤ朝がアッバース朝に滅ぼされたおりに、 アッバース朝の執拗な残党狩りを逃れたアブド=アッラフマーンは、母親がベルベル人だったことから、 モロッコのベルベル人に迎えられ、755年ウマイヤ朝の旧臣の援助を受けて、イベリア半島で勢力を拡大し、 756年スペインのコルドバに後ウマイヤ朝を再興した。
 アブド=アッラフマーン3世のときに、後ウマイヤ朝は全盛時代を迎え929年カリフの称号を名乗り、「西カリフ帝国」ともいわれるようになった。 この頃の首都コルドバは、西方イスラム文化の中心地となり、一大文化都市として、西欧からの留学生なども受け入れ、独自の発展を遂げた。 しかし、10世紀に最盛期となった後ウマイヤ朝は、第三代カリフのヒシャーム3世の時に、地方のイスラム教勢力が反乱を起こし、1031年に滅亡した。
その後は、セビリア、グラナダ、トレド等のタイファと称する小王国が分立して、混乱を極める状況となり、 キリスト教徒の国土回復運動(レコンキスタ)が攻勢を強めてくることとなる。
 カスティーリャ王国によって、1085年にトレドが奪回され、12世紀から13世紀はトレド翻訳学派と呼ばれる学者集団(キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の混合組織)が、 アッバース朝時代に、バグダッドに作られた『智恵の館(バイト=アルヒクマ)』でギリシャ語からアラビア語に翻訳された文献を、 さらにここでラテン語に翻訳する作業が行われた。 また、トレド翻訳学派の翻訳は、カスティーリャ王アルフォンソ10世の奨励で、カスティーリャ語(現在のスペイン語)にも翻訳されて、 さらにその拠点もセビリア等にも設立された。
 このトレド翻訳学派の活動は、イスラム文明との接触によって得た知識である、ユークリッド幾何学、プトレマイオスの天文学、 古代ギリシャやローマの哲学、医学、数学、神学、農学など、が西欧に伝わり、当時の知識と融合することで、 最近では12世紀ルネッサンスと呼ばれ、14世紀ルネッサンスに大きく影響を与えたことから、 12世紀ルネッサンス無しには14世紀ルネッサンスはありえなかったとも言われるようになった。
 モロッコを経由して、イベリア半島に進出したイスラム教徒が、世界史に果たした役割は計り知れない、大きな価値を残す結果となったのである。
 時の流れに、もし神の意思が働いているとすれば、モロッコを経由しジブラルタル海峡を渡り、 スペインで大きな花を咲かせたイスラム教徒の役割は、正にその一つであるかも知れない。



〒868-0431 熊本県球磨郡あさぎり町岡原北字宮野892−1

写真展の歩み

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